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映画「ザ・ウォーカー」作品紹介
製作国
アメリカ映画
公開日
2010年
上映時間
118分
監督
アルバート・ヒューズ
アレン・ヒューズ
キャスト
イーライ – デンゼル・ワシントン
ビリー・カーネギー – ゲイリー・オールドマン
ソラーラ – ミラ・クニス
作品情報
世界が崩壊した近未来を舞台に、この世に一冊だけ残った本を運び、ひたすら西へと孤独に旅する男の姿を描くアクション。その目的とは⁉目的地には何があるのか…?
映画「ザ・ウォーカー」あらすじ
戦争によって国家も文明も滅びた世界を旅する男がいた。
彼は、30年間ただひたすらに西へと歩き続ける。
目的地は何処なのか、彼にもわからない。
ただ、「本を西へ運べ」という心の声に導かれるままに歩き続ける。
映画「ザ・ウォーカー」あらすじストーリー結末【起】
※この先、ネタバレを含みます。
戦争によって、文明が途絶えた世界。
男が一冊の本を西へ運ぶ。 かつては車が行き交っていたであろう道を独り歩く。
彼の名は「イーライ」
彼は、寝床を探し、廃墟のような建物に入って行った。
そこにはかつてここの住人だったであろう男の遺体。
靴を取り換え、古くなった自分の靴と履き替える。
彼の日課はと言うと 焚火をして狩りで仕留めた獲物を食べて
持っていたiPodで音楽を聴きながら本を読むことだった。
翌朝、いつの間にか寝てしまい、iPodのバッテリーがない事に気付く。
イーライは再び道を歩き始めた。 助けを求める女性の声を聞く。
罠だと気付いたものの、物陰から現れたヒャッハー集団に取り囲まれてしまう。
しかしイーライは超人的な強さで返り討ちにしていった。
今度は旅人が、別のヒャッハー集団に襲われているところを目撃してしまう。
「歩き続けろ。関わるな」と自分に言い聞かし、その場をやりすごす。
やがて、街に辿りつき、雑貨屋へと入っていく。
「見かけない顔だな」と言われ、銃で威嚇する店主に「俺はただの客だ」と訴える。
なぜか「手を見せてくれ」と言われる。
素直に手を見せ、
そのままリュックからバッテリーを取り出し 「これに充電してほしい」と頼み込んだ。
取引を成立させたイーライは、先程、略奪をしていたヒャッハー集団を目にする。
この町にはカーネギーというボスがいた。 ヒャッハー集団は、彼の部下だった。
ボスは、ある一冊の本を探しており、 手下を使って道行く旅人から略奪を続けているようだ。
水を求めて酒場に入ったイーライは、その場にいたボスの部下に絡まれてしまう。
多勢に無勢。 完全に不利な状況にも関わらず、イーライは逆に圧倒してしまう。
騒ぎを聞きつけたボスは、イーライに興味を持ち、二階に招き入れる。
「安心しろ。俺は人肉は食わない」と言われた。
食糧難から人の肉すらも食べる事が当たり前のように行われているこの時代では、
手を見せて、食人病である「震えがない」事を確認するのが挨拶のようなものだった。
映画「ザ・ウォーカー」あらすじストーリー結末【承】
イーライの事を「ただの男」ではないと思ったボスは、部下に雇いたいと申し出る。
ボスの部下になれば、水や食料、女に不自由はしないと言う。
しかし、「先を急いでいる」として、申し出を断った。
どうしても部下に迎え入れたいボスは、今日はこの町に泊まれと促す。
一晩だけ泊まる事にしたイーライは、
与えられた部屋でくつろいでいると、一人の盲目の女性が入ってくる。
彼女は、生まれつき目が見えないと語った。
彼女を気遣い、そのまま送り返したイーライに、ボスは盲目の女性の娘、ソラーラを向かわせる。
しかし、彼は誘いにも乗らず、追い返そうとするが、
ソラーラは「楽しんだ」と言ってほしいと懇願する。 さもなければ母が酷い目に遭うのだと言う。
仕方なく世間話をしていると、イーライが日課として読んでいる本をソラーラに知られてしまう。
字が読めないソラーラだったが、好奇心から本を見せてほしいと言う。
しかし、「これは、ただの本じゃない」とかたくなに拒否をする。
「水はどこにあるんだ?」とイーライの問いかけに、
「本を見せてくれなきゃ教えない」と口を閉ざすソラーラ。
しかし、イーライは 彼女を対面に座らせて手を取り
神への感謝の祈りを口にして、自分の食事をソラーラに分け与える。
翌朝、言う通りにしたのか?と聞くボスに対し、
「言われた通りの事をした」と言って、母と共に食事をとるソラーラ。
食事を前に、昨夜の事を思い出し、 母の手をとって神への感謝の祈りを口にする。
その言葉を聞いたボスは「どこでそれを聞いた!」と声を荒げる。
母を人質に取られ、仕方なくイーライの持っていた本の事を話すソラーラ。
イーライの持っている本こそ、探し求めていた本だと確信したボスは、
部屋に押し入るも、そこにイーライの姿はなかった。
映画「ザ・ウォーカー」あらすじストーリー結末【転】
その頃、雑貨屋に預けていたバッテリーを引き取りに来ていた。
「俺に脅されたと言えばいい」 そう伝え、
急いで店を出たが、そこでボスに取り囲まれてしまう。
ボスは「その本を渡せ!」と言い寄るが、本を渡す事を拒否する。
その本とは「聖書」だった。 戦後すぐに全て焼却されてしまったという聖書。
これまで力で人を支配してきたボスだったが、
そんな事をしなくても、「聖書があれば、神の教えで人を支配出来るはずだ」と彼は語った。
イーライは、本を納めるべき場所を求めて西に向っている事。
そして「ここは本を納める場所ではない」と答えて立ち去ろうとする。
ボスは、すぐさま撃ち殺せと部下に命ずる。
しかし、狙い打ったはずの弾は、なぜかイーライに当たらない。
次々と放たれる銃弾は、どれもイーライには当たらず、
やがてボスは、反撃により、脚を負傷して倒れ込んでしまう。
そのままイーライは町を立ち去っていった。 その後、後を追いソラーラが駆けつける。
彼女は「水のある場所を教える代わりに自分も連れていけ」と言う。
取引に応じたように見えたイーライだったが、 彼女に嘘をつき、その場に置き去りにしてしまう。
自分の旅が、ソラーラが思っている以上にきつく、ついてくるのは危険だと気遣ってのことだった。
一方、脚を負傷したボスだったが、聖書を諦めてはいなかった。
人と武器を集め、車で西に向っているイーライを追いかける。
その頃、置いて行かれたソラーラもまたイーライを追って西に向かっていた。
しかし、罠にハマってしまい、おいはぎに襲われてしまうソラーラ。
泣き叫ぶソラーラを助けたのは、イーライ。 イーライは仕方なく同行を許したのだった。
その夜、火をおこしていつものように本を読むイーライに、
ソラーラは本の事を聞かせてほしいとお願する。
聖書の内容に共感した彼女に、イーライは静かに語り始めた。
人々は、戦争が起きたのはこの本のせいだとして、一冊残らず焼却してしまった。
生き残った俺は、ある日、人ではない天の声を聞いた。
その声に導かれ、がれきの下に埋もれていた最後の聖書を発見した。
そして「お前は守られているから大丈夫だ」と声と共に その聖書を西へ運べと告げられた。
その声に従い、俺は導きとなる聖書を運んでいると語った。
翌朝、早くに出発した二人は、途中で民家を見つける。
水を求めて民家に近づくも、落とし穴にはまってしまう。
銃を向けられるが、窃盗集団ではないと誤解が解けた二人は、家に招かれる。
お茶を運んでくる夫人の手は小刻みに震えている。
何故、こんな老夫婦がたった二人で生き延びてきたのか。
その答えは案内された裏庭にあった。 庭には、この家を襲ったであろう野盗のお墓だった。
それも片手では数えきれない数の墓が並んでいる。
老夫婦は、家を要塞並みに改造しては、 襲ってきた野盗を罠にはめて、食していたのだ。
老夫婦の手が震えていたのは、食人をしてきた人特有の病気であった。
恐らくは自分達のことも殺して食べるつもりなのだろう…。
危険を感じ、ソラーラを連れて、早々に立ち去ろうとする。
しかし、外にでようとしたその時、自分達を追っているボスの車が向ってくるのを発見する。
二人は老夫婦と一緒に家に立てこもり、応戦。 しかし、今回ばかりは分が悪かった。
兵力差の前に老夫婦は倒され、 イーライは腹部を撃ちぬかれ、聖書を奪われてしまう。
ボスは嫌がるソラーラを無理やり引き連れて町に戻っていった。
町に戻る途中、ソラーラは、ボスの部下の隙をつき、 車を奪い、急いでイーライの元へ向かった。
しかし、彼の姿はどこにもなかった。 イーライは重体にも関わらず、西へと進んでいた。
映画「ザ・ウォーカー」あらすじストーリー結末【結】
車で追いついたソラーラは彼を車に乗せ、「こうなったのは、全部私のせい…。」と謝る。
「君のせいじゃない」と優しくソラーラに語りかけた。
命よりも大切な本を奪われてしまったイーライだったが、彼は気付いたのだ。
本を守る事ばかりに夢中になって、神の教えに従って生きる事を忘れていたという事に。
「教えとは?」 「自分よりも人のために尽くす事」 今回の一件でイーライはその事を学んだと言う。
イーライを乗せた車は、やがて海に到着。 車から手漕ぎ舟に乗り換え、
いよいよ旅の終着点である町に着こうとしていた。
「聖書を持っている」と伝え、町へ入る 中から出迎えてくれたのは、白髪の老人だった。
町の中は博物館そのものだった。
「ここから新しい文明を始める」 老人はそう語ると
イーライの持っている聖書を見せてほしいといった。 イーライは老人に言う。
今から言う言葉を一言一句、正確に書き留めてほしいと…。
イーライが読んでいた聖書には、点字が並んでいた。
そして、彼は、一語一句すべて暗記していたのだ。
持っていた聖書は、目が不自由な人の為の聖書だった。
盲目のイーライが、たまたま瓦礫の下から点字の聖書を見つけていたのだった。
一方で、ボスが奪っていった聖書には鍵がかけられていた。
町に戻ったボスは、雑貨屋の店主に鍵を開けさせる。
念願の聖書を手に入れ、ゆっくりと本を開ける。 「こんなバカな・・・!」と愕然とするボス。
ボスは、ソラーラの母に、点字の聖書を読んでくれと頼む。
しかし、「点字はもう忘れてしまった」と言って本を突き返す。
脚の傷が悪化し、ボスはもう長くないと悟った母は、ボスの元を去り娘を探す旅に出た。
ボスが目にしたのは、今まで力で支配していた町の人間達が暴徒となって略奪する光景であった。
ボスによる力の支配は終わったのだった。
ボスが探し求めていた聖書は、彼の頭の中に全て残されていた。
毎日のように聖書を読んでいた彼にとって、本はもう必要ではなかった。
全てを告げ、イーライの言葉から聖書は再び本となった。
そして、全てをやり遂げた彼は、守られていた事に感謝し、安らかな眠りについた。
イーライの墓標に花を添えたソラーラは「好きなだけここにいていいんだよ」と言う老人に感謝する。
「やるべき事がある」と言い残し、
イーライの形見でもあるiPodをもって母の待つ家へ、長い旅に出るのであった。
彼女もまた守られていると信じて。
映画「ザ・ウォーカー」感想
この作品は、2010年に公開されたアクション映画でした。
まさに北斗の拳を思わせるような世界観でした。
色鮮やかさを抑えたセピア調っぽい映像がその世界観をいっそう際だたせる。
アメリカ映画ということもあり、聖書の重要性が伝わってきた作品でもありました。
ラストで明かされる主人公イーライが盲目だったという事実。
目ではなく、音を頼りにしている描写など
映画の前半でその伏線が張り巡らされていたようですが、
最後の最後まで全く分からなかったどんでん返し映画です。
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