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映画「世界の中心で愛を叫ぶ」作品紹介
製作国
日本映画
公開日
2004年
上映時間
138分
監督
行定 勲
キャスト
松本朔太郎(サク)=大沢たかお、森山未來
藤村律子=柴咲コウ
広瀬亜紀(アキ)=長澤まさみ
重蔵(重じぃ)=山崎努
映画「世界の中心で愛を叫ぶ」あらすじ
ある日、荷物の整理をしていると一本のカセットテープが出てきた。それは、過去に愛した人との交換カセットテープだった…思い出を辿り、彼女との思い出の場所を巡り、彼女との軌跡をかみしめる。決して色褪せない青春が、そこには確かにあった…
映画「世界の中心で愛を叫ぶ」あらすじストーリー結末【起】
※この先ネタバレ含みます。
朔太郎(サク)と婚約した律子(リツ)は、
引っ越しの準備をしていたところ、一本のカセットテープを見つける。
テープを聞き終えたリツは、「しばらく出かけてきます。心配しないでください」
という意味深な置き手紙をサクに残し、何も言わずにサクの前から姿を消すのだった。
リツを紹介してくれた友達が経営するバーへ足を運び、
「リツがいなくなった」と心配していると、
テレビ中継で、サクの地元である高松の台風ニュース映像に
たまたまリツが映り込んでいるのを目にする。
何かを直感したサクは、自身も地元の高松に向かうのであった。
時は1986年。
高校生のサクは、成績も優秀でスポーツも万能な
自分とは正反対の優等生であるアキに密かに恋心を抱いていた。
ある日、校則で禁止されている原付に乗って学校から帰る途中、アキに声をかけられる。
「あぁーやっぱりバイクで通ってたんだ」と言うアキに
「せ、せ、先生にチクんのかよ・・・」と返すサク。
アキは、そのままバイクの後ろに座ると戸惑いながらも「しょーがねーな」と言って
バイクを走らせた。
サクの家とは全く逆方向だというアキに「なんで一緒に乗ってきたんだよ」と質問するサク。
アキは照れ隠ししながら「サクと話したかったから」と笑うのだった。
それは二人の青春の始まりだった。
ある日、アキは当時はまだ高額だったカセットウォークマンを眺めながら、
「どっちが先に手に入れるか競争しようか」とサクに話していた。
ラジオ放送で投稿したハガキが読まれると、ウォークマンがプレゼントされるようだ。
アキの提案に乗って競うようにハガキを投稿する。
そんな中でも二人は常に寄り添い、些細な事でさえ二人にとってはかけがえのない青春だった。
映画「世界の中心で愛を叫ぶ」あらすじストーリー結末【承】
2003年現在
リツを追って地元に帰って来たサクだったが、
いつの間にかその足はアキとの思い出の場所を辿り始めていた。
アキに声をかけられてバイクで向かった堤防。
その次に向かったのは、アキの眠るお墓だった。
そして、実家へと向かう。
当時のまま残された自分の部屋。
サクが見つけたのは、古い箱に入った大量のカセットテープと、カセットウォークマンだった。
1986年
深夜のラジオ放送に読まれた投稿を聞いてサクは思わず飛び上がる。
それはサクの投稿した「白血病の少女」を題材にした架空の物語だった。
翌朝、自慢げにアキに話すも、振り返ったアキの表情はどこか曇っていた。
学校からの帰り道、自分を待っていたアキに、黙ったまま一本のカセットテープを渡される。
その夜、作り話の投稿をして手に入れたウォークマンでサクは
アキから渡されたカセットテープを聞いた。
そこには「病気の人の気持ちを考えた事ある?」と吹き込まれていた。
「私が死んだらサクはどうする?」とアキの言葉がサクに突き刺さった。
翌日、サクはアキに謝りに向かった。「今度はサクの番だよ!」とアキは伝え、
そこから二人はテープを交換してお互いの思いや言葉を伝え始めるようなっていくのだった。
二人のお互いに対する想いは一層強くなっていった。
夏休み、二人きりの時間を過ごすサクとアキ。
海で楽しい時間を過ごす中、アキがカメラを発見する。
カメラ自体は壊れていたものの、中に入っているフィルムを興味本位で現像しようと持ち帰った。
夕暮れ時。サクは流れに身を任せて、アキにキスをしようとする。
しかし「ロマンが足りない」とアキにからかわれ、ふたりのキスは叶わなかった。
映画「世界の中心で愛を叫ぶ」あらすじストーリー結末【転】
翌朝、穏やかな時間が流れる中、突然、アキが鼻から血を流して倒れてしまう。
病院に搬送されたアキに宣告された病名は、白血病だった。
思い出の場所を巡り歩いてきたサクが辿り着いた場所は、二人が通っていた学校の体育館だった。
そこはかつてアキから白血病だと告白された場所だった。
その場所でテープから流れるアキの声を聴きながら
サクはそこでアキの存在をたしかに感じ取っていた。
リツもまた、ある思いを背負って、体育館にきていた。
強い思いに浸っているかようなサクに声をかけることが出来ず、
そのまま何も言わずに立ち去ってしまう。
17年前のあの日、ひとり死んでいったアキ。
アキは最期、サクに会おうとしなかった。
だからここに来ると、まだアキがいるような気がする。
サクは大粒の涙を流した。
体育館を後にしたリツは、立ち寄った写真館で、壁にかけられた一枚の古い写真に釘付けとなる。
「知り合いかい?」と写真館のオーナーの重じいに話しかけられる。
サクやアキとも親しい人物だと知ったリツは、
「私、奪ってしまったんです、二人の約束を」と話し始めた。
アキが病院に入院した後も、サクとの交換テープは続いていた。
ベッドから動けないアキの代わりに、サクの下駄箱にカセットテープを届けていたのが、
当時、まだランドセルを背負っていたリツだったのだ。
リツの母親がアキと同じ病院に入院しており、
面倒見のよいアキにリツが懐いたのがきっかけだった。
リツは、アキから頼まれて、あの日海で発見した
カメラのフィルムの現像を頼みに重じいの元を訪れていたのだった。
フィルムに写っていたのはオーストラリアにある「ウルル」と呼ばれる
アボリジニーの聖地であった。
「世界の中心と思える場所」お見舞いにきたサクに、いつかここに行ってみたいと話すアキ。
サクはアキの顔を見ながらやさしく答えた。
「オーストラリアに行く為に、パスポートの写真を撮りに行こう」
写真館で壁一面に飾られた結婚式用の写真を眺めながら、
アキは「私、忘れられるのが怖い・・・」とつぶやいた。
そして、写真は永遠に残るからと重じいに今の自分たちを撮ってほしいとお願いする。
そのお願いに対して、二つ返事で快諾する重じい。
その日撮影した二人の写真は、この日、この瞬間、このたった1枚の写真の中だけに
永遠の夫婦の姿を残すのであった。
しかし、アキの症状は悪化の一途を辿っていた。
サクは、無菌室へと移動させられたアキの元に向かい、一枚の紙を広げる。
それは、朔太郎の?サクの名前を書き入れた「婚姻届」だった。
「結婚しよう」二人は、ビニールカーテン越しに手を重ね、儚いキスを交わした。
アキの誕生日の前日。アキはサクからのテープを再生させると、
「約束の場所に連れていく」と吹き込まれていた。
映画「世界の中心で愛を叫ぶ」あらすじストーリー結末【結】
その日の夜、薄暗い病室にて、台風による激しい雨が窓を打ち付ける様子を眺めながら、
アキはサクを待っていた。
「行けるかな?」「行けるよ。僕が必ず連れていく」ふたりはタクシーで空港に向かい、
飛行機を待った。
その時、空港内に「天候不良の為、飛行機は欠航する」というアナウンスが無情にも流れる。
響き渡るそのアナウンスを聞いたサクは、カウンターに詰め寄る。
「僕たち、どうしても今日、オーストラリアに行かなきゃ行けないんですよ!」
突き飛ばされるサクを見て、アキが立ち上がるも、すぐに倒れてしまう。
倒れたアキの元に駆け寄るサク。不安そうにしているアキに「この次絶対いけるよ」と励ました。
「ないんだってば…この次なんてないんだってば…。」そう言ってアキは目を閉じてしまう。
サクは天を仰ぎ見て、身体を抱き抱えながら「助けて下さい!!」と絶叫する。
しかし、その叫び声が奇跡を呼ぶ事はなかった。
翌朝、病室で目を覚ましたアキは、レコーダーの録音ボタンを押し、
残りわずかな命を言葉へと変え、テープに吹き込んだ。
そして、自身の最後のメッセージをリツに託す。
しかし、急いでテープを届けようとしたリツは、運悪く車と衝突してしまう。
リツはそのまま入院してしまい、アキの最後のメッセージはサクに届けられる事はなかった。
重じいとの会話からリツは、サクこそがアキお姉ちゃんの恋人であり、
幼い日の自分がテープを届けていた本人だったのだと知る。
「サクちゃんだったんだね・・・」全てを悟り、サクに電話で告げるリツ。
サクは、リツが写真館にいる事を聞き、急いで向かうも、そこにリツの姿はなかった。
「俺はずっとアキの死から逃げてた・・・」自分を見失っていたとへたり込むサクに
重じいは「残された人間に出来る事は後片付けだけだ」と告げ、
リツから預かっていたカセットテープを渡す。
サクはテープを受け取り、急いでリツの後を追う。
空港に来ていたリツだったが、奇しくも17年前と同じように
台風によって飛行機は欠航となっていた。
リツの後を追って空港に来たサクは、そこでようやくリツと再会を果たす。
「アキお姉ちゃんが愛した彼にどうしてもそのテープを渡したかった。
それがサクちゃんだったなんて…ごめんねサクちゃん…」嗚咽交じりにそう話すリツを、
サクは優しく抱きしめ「アキは君を恨んじゃいない」と伝え
その後ふたりはオーストラリアに渡った。
目的地は「ウルル」アキと約束したあの場所。
サクはウォークマンを取り出し、アキからの最後のカセットテープを再生する。
今にも切れてしまいそうなか細いアキの声。
しかし、ハッキリとサクの心には届いていた。
「本当にそばにいてくれてありがとう。あなたはあなたの今を生きて。」
サクへの思いを綴った最後の言葉を聞いて、ようやくアキの死を受け入れたのだった。
アキの遺灰を手に取り、その手をおおらかな風の吹く大地にかざした。
遺灰はまるで手品のように、世界の中心に吹く風の中に消えていったのだった。
映画「世界の中心で愛を叫ぶ」感想
この作品は、「セカチュー」ブームとして社会現象にもなり、死んでしまった恋人の遺した最後のカセットテープをめぐる切ない青春ラブストーリーでした。当時の私は、アキが病気で死んでしまう悲しい物語だと思いましたが、大人になって見ると、サクとリツの残された者がアキの想いを引き継ぎ、大切な人はいつまでも心の中で生き続けることを証明してくれた映画だと感じました。
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